【生産者インタビュー】広島県・有限会社いっとく 山根浩揮
「非効率な所にヒントがある」



 

今日はよろしくお願いいたします!

 

二人、車で下道、18時間かけてきたんやって?(笑)やばいな〜!
若い頃のおれを見てるみたいやなあ〜!
いいやんいいやん!よろしく!でさ、、、

 

みたいな始まりだったと記憶しております。
こちらから聞きたいことを一つずつ聞いていくのではなく、
小さいワードから思いついたことをバンバン話すその勢いに、
やっぱり活気のあるいっとくグループの大将だなあと感じ、
またまたインタビューは生き物ってのはそうだな、なんて思いました。
その山根さんから溢れ出る言霊に身をまかせるかたちで、
インタビューさせていただきました。


 


<プロフィール>
山根 浩揮(やまねこうき):

有限会社いっとく代表で、尾道と福山をメインに、居酒屋やカフェなど、計14店舗を展開されています。
「食で人を幸せにする」「人情味の絶えない店創りで日本をぶち元気にしよう!」と、
無農薬米を自分たちでつくり、街の人たちと一緒に地域の食を盛り上げようと奮闘中。
あとHPに書いてあったのは「周りの人間を楽しませることが大好物」、これは間違いないです。
今日もがっはっはと笑って、走り回っているのではないでしょうか。
現在は、居酒屋甲子園4代目理事長を経て、
全国の居酒屋の仲間達と創り上げる居酒屋大サーカスを立ち上げ、
社団法人IZAKAZA NIPPON理事長就任。

尾道を中心に、かつ全国をまたいで、食で人を幸せにしようとしているかっこいい41歳です。

 

まず、飲食店を展開するいっとくさんが、
なぜ無農薬のお米をつくるようになったのか聞かせてください。

 

いっとくは、尾道市御調町(みつぎちょう)で無農薬のお米をつくってる。
一つは、おれが心と体を健康にしたい気持ちが昔からつよかったからなんよね。
食に対する意識って、だんだん低くなるじゃん。
んで、おれはずっと居酒屋畑じゃん。
働いてるやつが、働きつづけて、
ガンになった、成人病になった、
ってなると、自分たちの仕事は、
本当にひとを幸せにすることなのかなと思った。
まずは自分たちが幸せにならなきゃならない。
だから、無農薬でいまもお米をつくって、
それをできるかぎりお店でつかってるんよね。



二つ目の理由は、
市が「畑やりませんか?」って公募してたのをきっかけに、
よっさん(元スタッフ)とめぐりん(新川恵・YAMANEKO MILL)が、農業塾に1年いっていたから。
飲食店やから土や食材のことも知ることができるしね。
その農業塾で加納省三(合ってる?)さんっていう人と繋がって、
お米をづくりを実際にやることになった。
機械はシェアさせてもらって、
うちも一台だけ中古の機械を買ってやるようになったんよね。






 

でも無農薬なんですごい手間がかかる。
生産性でいうとかなり低いし、手間はかかるわ人件費はかかるわ、
ってことになるんだけれども、
自分たちはそこで儲けるというわけではなく、
食べることに対して、
自分たちの学びの場ってことと、
お客さんに気づきを与えられたらいいなと考えているんだよね。
意志をもって自分たちが作った、仕入れたものに対してお客さんが、
「最近食が荒れてんなー、もうちょっとスタイリッシュに生きよう!」
みたいな、何かしら自分の人生の一つの良いきっかけになったらいいなと思ってる。


 

 

あとは、ちゃんと”続ける”ってことを示すことなんだよね。
やっぱり作り手がどんどんおらんくなってくるじゃん。
うちらは100人くらいいるから、彼らと一緒に“続ける”ことができてる。
というか、「3年やってみて、やっぱり難しんですわ〜」っていうのは、
失礼だし、やっている方もみてる方もなんだったんだろう、
ってなるから辞められないな。
つくるお米は無農薬。
そうじゃないやり方でやるとやる意義がなくなるかなと思っている。
だから、どこまで無農薬でいけるかは自分たちの挑戦であるけれども、
直近的なお金のためにやってんじゃない。


ごはんとおともの二人と一緒だよね。
こういう活動は、何かあると、貫けると思うんだよね。
稼ぐのって大事じゃん。
何も売り上げがない状態で、
無農薬米のために「田植えしようぜー!」って、ようせんもんね。
やっぱりみんながいて、
社員アルバイトで毎週毎週ローテーション組んで、
「雑草がぶち生えとるわー!!!」ゆうて汗かいて作業して(笑)、
みんなでやるわけじゃん。


 

?



みんながおるから、失敗を重ねながらやれるじゃん。
だから、うちらみたいな仲間がいて、
金銭的な支えがある組織だからこそ、
無農薬のお米をつくるっていうことが、
毎年続けることができるし続けたいんだよね。



山根さんが心と身体を大切にするようになったきっかけは何だったのでしょう?

 

8年前かな。
ある師匠との出会いがきっかけで。
飲食店やっていたら、日々食に関わっとるわけじゃろ?

玄米のよさを師匠から教わるうちに、見る視点がかわってきた。
いま成人病がおおくて、、、
なんかウチの仲間がそんなんなったら嫌やな〜って思って。

それであえて、居酒屋やりながら健康的な店も出す、
“いばらの道”を選んだわけだよね。
玄米と発酵ったって、
この田舎でどんだけ意識高い人がいるかっていうと、
そんないないと思うんだよね。儲かんないし。
それよりもさ、
うまいピザや、パスタとか、パエリアとかさ、
まー海みえて、「パエリアできましたー!」なんて言った方がさ、
お客さんも街も「いえーい!」みたいなさ(笑)。

 

 

ちょっとグラス大きめでさ、
「かんぱーい!」なんてやってもらいたいわけでしょ。
でもあえて、質素で控えめな方にトライしつつ、
それでも居酒屋やラーメンもやりつつ、、、いったりきたりだよね。
儲けるためだけにやっているわけじゃない訳だし。


 



だからこそさ、
いかにそういうことを地道に赤字にならずに、ずっと続けていけるようにするか。
流行りの業態で言えば肉業態とか、パスタやピザとかの方が儲かるかもしれない。
「儲かるのええなー、やっちまったかな?」って思うことはあるよ(笑)。
なんて言いつつも、 やっぱり「食の大切さ」を特にこのお店では伝えてゆきたい。
こうして往復していくことを、うちは大事にしているんかもしれんね。
それが結果的に他の飲食店との差別化になっているかもね。
で、、、なんの質問だっけ?(笑)


 

いっとくさんは、社内報の「いっとく新聞」を定期的に出していますよね。
ただでさえ忙しいのに、新聞にコストをかけるのはどうしてなのですか?


 


(不定期で発行される、いっとくグループの社内報。けっこうリッチ)



それは“非効率なところになにかヒントがある”と、
いつも思ってるからなんだよね。
非効率はわかりやすくいうと、心なんだよね。可視化しにくいもの。
「お前情熱あんのかよ!」って言われても、
「あるっちゃあるけど、、、、最近ちょっとないかな〜?」
ってようわからん感じになるじゃん(笑)。
だからこそ、そこが大事だとおもっていて。


もうちょっと言うと、満足と幸せは違うってことなんだよね。
満足は、言語化しやすいと思うんだよね。
たとえば数値化してさ、
40万目指したいです、50万目指したいです、、、と際限がない。
心の幸福感はそういうもんじゃないじゃん。
本当にあの人が作ってくれた、
時間かけてくれたあの手紙、、、なんだか泣いてしまいました。
コストでいうと、、、わかんないもんじゃん。
お米も似たところあるんじゃないかな。
高いものがいいわけじゃなくて、なにか、、、伝わるもの。


 

 

ひたすら満足じゃなくて、、、
お客様の幸せを求めていくってことに、
二人がやっていることはヒントがあるかもしれないね。
満足ばかりさせてたら、
いいねー!なんて言いながら、じゃあ次は?ってなるよ。
うちらも、本当の意味で、
身体が変わっていくとか、心が満たさせれていくっていうのが、
 大事じゃないのって思う。

話は戻るけど、
「いっとく新聞」みたいな非効率みたいなところに時間をかけていく。



それで言うと、うちらはね、
効率的な宣伝費なんてほんとかけてないんよ。
年で一、二回だけかな?
地域を盛り上げようという志のある雑誌だけに載せるだけ。
あとは外には何にもやんない。内製化して。
同業者とかは、某媒体に集客のために1年間で1000万円使ってる。
1000万だよ!?
そしたらサイトでは一番上にも表示されるし、宴会依頼も入る。
それがいい悪いかは別として、

うちらは田舎でこの商売させてもらっていて、
そういうことやる必要もないから伝え方が違って、
その分、固定費も低いしきちんと食材を選んでさ、
普通の居酒屋じゃなくて、
なにか心が満たされるのがいいと僕は思っているし、
新規客をどんどんたくさんっていうんじゃなく、
お店とお客さんの人間関係が深まればいいなと思っている。


 

 

究極的にはお客さんが”マニア化“してくれたらいいなと思ってる。
なんでおれも知らないこと知ってるの!?っていう。
「スタッフのあの子、最近別れたらしいなぁ」なんて(笑)。
「いっとく新聞」を読んだからって、
お客さんが来てくれるわけじゃ無い。
「いっとく新聞」をみて、
こういうところがいいよね、って思ってもらえるお客さんが、
またいっとく来てくれたらいいなって感じ。
お客さんもお店と一緒に時間を過ごしたい、
みたいにお店と関わることが心の喜びとなったら嬉しいよね。



山根さんはどんなお子さんだったのですか?

 

どうじゃろ、あんま変わらんかな!
幼少期は多動症だよね。落ち着きがない子。
授業中に後ろのロッカーに立って、歌ってたらしい(笑)。
スポーツもできて、頭もよかった。
塾8つ行ってたもんな。自分のことが好きやった。

負けん気が強くて、サッカー部キャプテンで、生徒会副会長やった。
性格はいまでもかわらんけど、
中2の時に親父をなくしたんだよね。
そこがただ子どもやった自分を変えさせたポイントやと思っていて。
死というのは、人を大きく変容させると思うんよね。
ビートたけしさんが死にかけたとか、千原ジュニアさんとかもね。
倒産したけど復活したとか、いろんな死っていう意味で。
今まで親父がなにかもっていたなにか、
人を大事にしていたこととか、ちょっとファンキーだったこととか、
すごい今の自分の中で大切にしていて、
だから、親父にこういう姿みてほしいって、潜在的にあると思うんだよね。


 

 

そして、おれが古着始めたのが19歳の時やけど、
元々親父のお店を継ぐって育ってきた。
やっぱりよかったのは、おかんが、
「あんた、好きなものをやりい」
と言ってくれたことも大きかった。
おかんは、経営していた自分の飲食店やらんでもいいと言ってくれた。
だから、古着屋を始めた。
やっぱり自分がすきなことをやったりして、
そこで見たこと、海外でみてきたことが今に生きてると思う。
だからカフェもやっているし、アートにも触れたいなと思うし。
自分が感じたことをやってみる、
っていういまの経営のかたちは、そういう家庭環境でつくられたのかもね。
やっぱり親父の死なんだろうね。


今後のいっとくグループの目標はありますか?

 

今後の話でいうと、具体的目標とか決めてないんよね。
でもこの尾道をメインとした備後地方という地域に根ざしたい。


 

 

備後で健康でおいしい食だったら、いっとくだよねって。
言うなれば「食のデパート」笑。
でもそれはいついつまでにどんなものをって決めてる訳じゃない。
だって変わるじゃん、やりたい事は沢山あるし色々と思い描いているけど、
今感じてることは確実にそのあと変わるから。
さっきも言ったけど、 親父の死からおかんの影響でお店を始めたように、

自分でみて、感じたものをすぐかたちにしてきた。
今後は、そこにむかって、海外や県外を旅しながら、
ブレずに食を通して人を幸せにするってことをやっていきたい。
そんなんでいいかな?!


ありがとうございました!

 

 

〜あとがき〜
 

いち会社の社長として、
「非効率」を「ちゃんと続ける」
ということをかたちにしているこのかっこよさときたら。
僕たちはまだそんな同じ気持ちなんて味わえる段階ではないのですが、
きっとその時に同じことを思うのは、たいへんなことなんだろうと思います。
でも、山根さんのドライブ力はすごいです。
そんな山根大将が率いるいっとくグループのつくったお米、
ぜひたべてみてください!
ストーリーだけと思えば、実は「かなり」おいしいです!
そして、ぜひ尾道にいったときにはいっとくのお店を体感してください!